川崎市矢向の歯医者さん、伴場歯科医院です。今回のテーマは「虫歯予防と歯磨き」です。虫歯予防の基本は歯磨きであり、歯磨きの目的はプラークを除去することです。
このため、私達は口の中が最も汚れるタイミングで歯磨きする習慣があり、それは朝、昼、夜のそれぞれの食後です。では、これらのタイミングで毎回歯を磨けば虫歯を予防できるのでしょうか。
朝、昼、夜の食後に毎回歯磨きしても、それだけで虫歯を予防できるかは分かりません。と言うのも、歯磨きにおいて大切なのは「頻度」ではなく「精度」だからです。ですから仮に1日10回歯磨きしたところで、その歯磨きの精度が低ければ虫歯は予防できません。
歯磨きの目的はプラークを除去することですが、では1回の歯磨きでどのくらいのプラークが除去できるのでしょうか。一般的にブラッシングだけの歯磨きの場合、プラークの除去率は6割程度とされています。
それだと4割程度の磨き残しが発生することになり、歯磨きを適当にすませば磨き残しはさらに増えるでしょう。一方で、1日1回しか歯磨きしないとして、その1回の歯磨きによるプラークの除去率が10割の場合、それだけで充分虫歯は予防できるのです。つまり、虫歯予防における歯磨きとして重要なのは精度です。
歯磨きにおいて大切なのは頻度ではなく精度…これについては分かっていただけたかと思います。さて、次に問題となるのはその方法…つまりどうすれば精度の高い歯磨きができるのかという点です。これには次の3つの方法があり、どの方法も歯磨き時のプラークの除去率を確実に高めることができます。
デンタルフロスは歯と歯の隙間を磨くためのもので、通常のブラッシングではこうした箇所を磨けません。このため、デンタルフロスを使うことでプラークの除去率を2割高めることができます。歯間ブラシにも同じような効果があり、デンタルフロスは虫歯予防、歯間ブラシは歯周病予防に効果的です。
歯磨きには正しい磨き方があり、それは歯並びによっても異なります。このため、歯科医院の予防歯科や定期検診ではブラッシング指導を行っており、それを受けることで自分の歯並びに合った精度の高い歯の磨き方を学べます。
プラークテスターを使えば、磨き残したプラークを染色することができます。本来なら無色透明なプラークを染色することで、磨き残しを目で確認できるようになります。このため磨き残しを確実に減らせますし、数日使用してパターンを知れば自分の歯磨きの弱点も分かります。
虫歯治療した歯が再度虫歯になる…つまり虫歯が再発することを二次虫歯と呼びます。二次虫歯は詰め物や被せ物の隙間から細菌が入ることで起こる虫歯であり、二次虫歯を予防するには歯磨きだけでは不充分です。
なぜなら詰め物や被せ物の境目を磨くのは技術的に難しく、そもそも詰め物や被せ物に隙間が生じている場合、それに気づくこと自体が困難ですからね。そこで、二次虫歯を予防しやすくなる2つの方法をお伝えします。
定期検診では歯科医が口の中の健康状態を確認します。このため、詰め物や被せ物に隙間が生じている場合はそれを発見できますし、これらに劣化が見られる場合もそれに気づき、新品のものと交換して再びしっかりと接着させられます。
「セラミック治療のメリット=審美性が高い」のイメージがありますが、それ以外にもセラミックには二次虫歯を予防しやすいメリットがあります。これはセラミックにはプラークが付着しにくく、さらに接着もしっかりして隙間が生じにくいのが理由です。
精密な歯磨きをするには時間がかかりますし、デンタルフロスやプラークテスターを使う場合は尚更です。このため、どうしても毎回の歯磨きでそこまで時間を費やせない方も多いでしょう。ちなみに、歯磨きにおいて大切なのは頻度ではなく精度だと説明しました。
ですから、1日3回の歯磨き全てをこのとおり実践できなくても構いません。もちろん実践できればするべきですが、どうしてもそれができないなら1日1回で良いのです。1日1回、時間をかけて丁寧で精密な歯磨きをする時間を作れば、虫歯は格段に予防しやすくなります。
いかがでしたか?
最後に、虫歯予防と歯磨きについてまとめます。
1. 歯磨きに大切なのは「精度」 :毎食後歯磨きしても、その歯磨きの精度が低ければ虫歯は予防できない
2. 精度の高い歯磨きをするには :デンタルフロスやプラークテスターを使う、ブラッシング指導を受ける、3. 二次虫歯について :虫歯の再発である二次虫歯は、定期検診やセラミック治療が予防として効果的
4. 1日1回は精密な歯磨きをしよう :1日1回でも精密な歯磨きができれば虫歯を予防しやすくなる
これら4つのことから、虫歯予防と歯磨きについて分かります。何度歯を磨いても虫歯を繰り返すのであれば、歯磨きの仕方を考え直してみてください。その歯磨きは精密でしょうか?…頻度が高くても精度が低ければ虫歯の予防はできません。デンタルフロスやプラークテスターを使い、磨き残しの少ない歯磨きを心掛けてみてください。また、定期的に検診を受けて口の中の健康状態を確認するようにしましょう。