川崎市矢向の歯医者さん、伴場歯科医院です。
今回のテーマは「総入れ歯になった際の噛み方のコツ」です。
総入れ歯にした当初は入れ歯の感覚に馴染めず、異物が入ったような違和感に覆われます。
そして、その影響を最も強く受けるのが食べ物を噛む時です。
総入れ歯で噛むことに不慣れな場合、その問題を解決するには慣れるしかありません。
そこで、ここでは総入れ歯になった際に覚えるべき噛み方のコツについて説明していきます。
噛み方のコツを知ることも大切ですが、総入れ歯の場合は食べ方も考えなければなりません。
と言うのも、いくら慣れて上手に噛めたとしても、天然の歯だった頃と全く同じものは食べられないからです。
総入れ歯の咬合力は天然の歯のそれと比べて3割ほどしかなく、決して噛む力が強いとは言えません。
このため、あまり硬いものを噛むことはできないですし、食べるものの大きさも重要になってくるのです。
食べ方の基本は2つで、1つは食べ物を一口大の大きさにしてよく噛んで食べることです。
もう1つは噛む力が弱い以上、一度にたくさん口の中に入れてしまわないことです。
ただし、食べ物の硬さにおいては慎重になりすぎるのも良くありません。
咬合力が弱いなんて言ってしまうと、やわらかいものばかりを食べようと思ってしまいがちですが、
極端にやわらかいものばかり食べてしまえば、噛むことの刺激が脳に伝わらず認知症の要因になり得ます。
上記で説明したとおり、やわらかいものばかり食べるのは認知症を招く恐れがあるので禁物です。
とは言え、総入れ歯にしたばかりの頃はまず総入れ歯で噛むことに慣れなければならないので、
最初はやわらかいものを食べるようにして、総入れ歯の噛み方に慣れていってください。
総入れ歯は天然の歯に比べて不安定なため、まるで異物を装着しているかのような違和感もあるでしょう。
この状態と噛み方に慣れなければ満足な食生活を送ることはできません。
やわらかいもので慣らしていき、その後は徐々に硬いものにチャレンジしてください。
ただし、いくらやわらかいものといってもイカやタコなどを噛むのは難しいですし、
チャレンジだからといって硬すぎるものを食べるのもおすすめできません。
いくら慣れたとしても、総入れ歯ではあまり硬いものを食べることはできないのです。
さて、ここからは噛み方の具体的なコツについて触れていきます。
総入れ歯で噛む時のコツは両側の歯で均等に噛むことです。
これは天然の歯にもいえる「噛み方の基本」ですから、特に難しい技術を要するというわけではありません。
最も、天然の歯の場合は丈夫ですから、この噛み方の基本を守らなくても大きな問題にはならないでしょう。
しかし、総入れ歯の場合はそうはいきません。なぜなら片側の歯だけで噛んでしまうと、
反対側が浮き上がって入れ歯で外れてしまうのです。分かりやすく例えるとシーソーの原理と同じです。
つまり、左右の歯で均等に噛むクセをつけることが必要ですし、前歯と奥歯も同じように使い分けてください。
ちなみに総入れ歯での前歯と奥歯の使い分けの基本は、「前歯で噛み切って奥歯ですり潰す」です。
前歯だけでずっと噛んでいると、やはりシーソーの原理で奥歯が浮き上がってしまいます。
「噛み方のコツ」というテーマからは逸れてしまいますが、
食生活の注意点という意味では食べものの温度を考えなければいけません。
まず総入れ歯の場合、入れ歯の構造上「上顎で温度を感じにくい」という特徴があります。
つまり天然の歯に比べて温度が感じにくくなるため、熱いものに対して鈍感になってしまうのです。
このため、本来なら食べられないほど熱いものも平気で食べられてしまいますし、
それが原因でお口の中や喉に火傷を招く恐れがあるのです。
もちろん飲み物においても同じことが言えますし、熱いものの飲食には注意が必要です。
ちなみに、近年では自費負担の入れ歯ならそれに対処した素材で仕上げてあるものも存在します。
ただし費用は格段に高くなってしまうため、希望する際は予算も考えなければなりません。
いかがでしたか?
最後に、総入れ歯になった際の噛み方のコツについてまとめます。
これら4つのことから、総入れ歯になった際の噛み方のコツが分かります。
総入れ歯の噛むコツは「左右両側の歯で均等に噛む」、「前歯で噛み切って奥歯ですり潰す」の2つです。
最も、これは天然の歯に言える「噛み方の基本」なので、総入れ歯ならではのコツというわけではありません。
しかし、総入れ歯は天然の歯に比べて咬合力も弱く、さらに外れるという欠点を持っています。
このため、しっかりと基本を守った噛み方をしなければならないのです。